パチ屋で複数のメンバーズカードを所持していたら出玉を没収されそうになった件 後編
前回の記事の続きです。
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パチ屋で複数のメンバーズカードを所持していたら出玉を没収されそうになった件 前編
パチ屋で複数のメンバーズカードを所持していたら出玉を没収されそうになった件 中編
ズシからの要求
私がズシにメンバーズカードからメダルを引き出してほしいと頼んだタイミングで、ズシの方からも金を貸してほしいと言ってきたのである。
詳細を聞くとCR燃える闘魂アントニオ猪木で、嫁から預かった金を使ってしまったということだった。
こいつ・・、嫁から預かった生活費をパチンコで溶かすとはどうしようもない奴だな。
正直、そんな奴に金を貸しても返ってこない可能性が、牙狼のマジェンサリーチくらいの信頼度の確率くらいはあると思ったんで、金を貸すなんてとんでもない話だったのだが、かといってズシのカードからメダルを引き出してもらえないと7000枚を取り戻すことができない。
てなわけで、とりあえず私は「いいけど何に使うの?」という返事をしたわけである。
かくして、ある平日の19時くらいの時間に私とズシはマイホの駐車場で落ち合うこととなった。
店員とのやり取りをしているズシを遠目から監視
まずは、ズシにカードを渡した。
「この中に7000枚くらい入ってるから、特殊景品に変えてきてくれ」
ズシはカードを受け取ると景品カウンターに向かったのだが、私も一緒に付いていくと店員から怪しまれる可能性があるので、カウンターでやり取りしている様子を、遠目に設置してあるソファに腰を下ろして監視していたのである。
ズシと私が知り合いということがバレると、ズシのメンバーズカードは本人が貯メダルしたものではないので、没収されるということは・・まあないとは思うが、とにかく面倒なことになる。
少なくとも出禁になる可能性もあるわけで、そう考えるとホール内のソファではなく、駐車場で待つべきともいえるのだが、駐車場で待つとなると逆に特殊景品をゲットしたズシがトンズラする危険性が出てくるので、ズシを見放すこともまた危険なわけである。
かくして、私はズシと知り合いということがバレないように、一定の距離を置いてズシを監視していたのである。
すると、どうだろうか。
景品カウンターにて、ズシが何やらカウンターの姉ちゃんと話をしているのだが、
次の瞬間!
ピシャァーーアッ!
「ヤバい白服カットインが入った!」
ズシがカウンターの姉ちゃんと話をしていると、途中、白服が出現したのである。
その光景を見ているだけで、大体の状況を想像できた。
おそらく、ズシのメンバーズカードに不信を抱いた白服の主任が、メンバーズカードを使用できなくする為にロックを掛けたわけだが、そのカードのメダルで特殊景品に交換しようと思った為に、本人確認の為に現れたのだと思われる。
その後、白服・カウンターの姉ちゃん・ズシの3人にて、三つ巴マミのすったもんだが勃発したわけだが、それから10分後くらいにようやくカードのメダルを特殊景品に交換してズシは帰ってきたのである。
私は恐る恐るズシに近づくと、問題なく特殊景品に交換できたとのことだったので、そのまま換金所に行くこととなった。
その際にはズシからは以下のようなことを言われた。
「白服から本当にあなたが使っていたカードなのかと怪しまれたのですが、先輩に勝手に使われていたこともあったかもしれません。今後は気をつけます。といって誤魔化しておきました」
ふむ。
ズシが機転を効かせて上手く対応してくれたようである。
で、その後の換金所に関しても、すぐ隣に私がいるのが白服に目撃されるとカードを利用していたことがバレるので、一定の距離を置いて換金所に向かったのである。
その後、無事、車内でズシから換金した金を受け取ることとなった。
総額で13万円くらいだったので、間違いなくカードに貯メダルされていた分の全額を現金で受け取ることができたのである。
私は手間代として5000円をズシに渡すと、その後、ズシから4万円貸してほしいと要求された。
金を貸すくらいであればくれてやった方がいい
ズシから金を貸してほしいと要求された私はそれを拒否した。
「金の貸し借りはトラブルの元になるからしたくない」
以上のようなことを言ったのだが、ズシは大変困った様子で私に懇願してきたのである。
「クロロさんお願いします!
お願いします!
お願いします!」
以上のようにマジで懇願してきたんで、こいつはヤベえと思った。
シャ◯中の輩が「頼む!シャ◯をくれ!」と懇願するかのようなリフレインで「金を貸してくれ」と懇願してきたのである。
そこで私は以下のような対応をすることにした。
「ズシ。俺は君に金を貸したくない。
その理由は、金を貸して万が一返ってこなかったら、ズシとの関係が崩れるからなんだ。
もちろん、高い確率で返ってくると思うが、万が一返ってこなかった時に関係が崩れるのが嫌なんだよ。
極端な話、金を貸して来月の給料日までの間にちゃんと返ってくるのだろうかと考えること自体もしたくないんだよ」
その後、一息ついて以下のようなことを話した。
「そんなわけで、絶対に金の貸し借りはしたくないんだけど、その代わりに2万円あげるからそれでどうにかしてくれ」
その後、私はズシに2万円を手渡したのである。
「そんな!クロロさん!
金はちゃんと返しますから4万円貸してくださいよ」
このようなことを言われたのだが、私はその2万円でどうにかしろと言ってそれ以上の金を渡すことはなかった。
すると、2万円以上受け取ることができないと観念したズシが言葉を発した。
「クロロさん。今度の給料日になったらこの2万円はちゃんと返しますから!」
私は別にいらないと言って、話は終了となった。
結果として、メンバーズカードから7000枚を引き出した代償として、ズシに25000円をくれたのである。
ズシとのその後
ズシの勤め先であるスロ専は過疎ってたのだが、店員がマジ可愛かったので、エナと店員を目的に覗くことは多かった。
そして、その際に度々ズシと顔を合わせることがあったのだが、それ以降20000円の件に触れることはお互いになかった。
そして、いつしか20000円の件はお互いの記憶から消えていった。
ズシは私に2万円を返す気はなかったのだろうし、私自身も返してもらおうとは思わなかった。
それから約1年が経過し、そのスロ専でもズシの姿は見られなくなった。
系列店に転勤したようでもなかったので、退職したのだと思われる。
「将来のことを考えると今のパチ屋でずっと働く気はないです」
と彼は常々言っていたので、転職したのだろうか?
とはいえ、彼はもう30代中盤に差し掛かる年齢であり、結婚していて子供も幼稚園に上がるくらいの年齢である。
将来云々といった夢物語ではなく、安定した金が稼げるのであれば今のパチ屋に務めていた方が得策にように思うのだが(しかも班長だったわけだし)。
私が彼くらいの年齢の時は、テメエがやりたい仕事とか、将来性とかガタガタ抜かしてるような状況ではなかった。
子供が成長すれば行きたい学校に通わせてあげたいと思うし、可愛い妻には欲しいと思った服は買ってあげたいと思っていた。
そんなことをずっと考えながら何年も働いて、気づいたら店長となっていた。
そして、現在では40代中盤から後半に差し掛かり、金について頭を悩ますことはようやくなくなってきたのである。
「だから何?」って話だけど、要は私が言いたいのは、結婚して子供ができたのであれば、自分がやりたい仕事や将来性云々ではなく、現状で金になる仕事をやらなければダメだろうって話なのである。
やはり、妻子を食わして行かなければならないわけなんで、ガタガタ言ってる余裕はないのである。
当時の私は、藁にもすがる思いで、社畜になって働いていましたわ。
「早く主任や副店長や店長になって、1円でも稼いで家族を楽にさせたい」
そんなことで頭が一杯でした。