パチンコ店でお菓子を捨てられてた客がブチ切れ!【後編】
先日の記事の続きです。
お菓子を失くした男性から映像を調べてみろと言われて事務所で調べたら、お菓子を持っていったのは、女性スタッフのエリカだったという話の続きです。
エリカに再度確認
映像を確認した私は再度エリカを呼び出す。
「エリカが217番台の球児からお菓子を持っていったのが映像に残っているぞ!
そのお菓子どうしたんだ?」
するとエリカは答える。
「すみません。ゴミ箱に捨てました」
つまり、こういうことである。
その時間帯にスロットコーナーを担当していたエリカは、閉店まで残り1時間となった時間帯で、自分の担当コースの清掃作業を進めつつホールを回っていたわけである。
そして、その際に217番台のパチスロ球児の棚にあるお菓子を見掛けたエリカは、下皿に物が置いていなかったので誰もその台を確保していない、お菓子は忘れていったと勝手に判断したというわけだ。
しかし、お菓子の持ち主が戻る可能性があるので、通常では15分間様子を見なければならなかったのだが、エリカはそれをせずに勝手にお菓子を引き上げてしまった。
しかも、落とし物としてジェットカウンター下に保管すれば、まだ良かったものを、事もあろうにゴミ箱に捨てたのである。
私は悩んだ。
この事実をすべて、あのガテン系の男に話してしまうとエリカが何を言われるかわからない。
実際に話していた時には酷く興奮していたので、暴力を振るいかねない雰囲気だった。
ともすると、ゴミ箱に捨てたという事実を男性に告げるのは危険である。
その為、まずは男性に気づかれないように、エリカが捨てたスロットホールのゴミ箱からお菓子の袋を回収して
「再度調べたところ落とし物として保管してありました」
と客に告げることにした。
とりあえず、お菓子が戻ってくればそれでやり過ごせるかもしれない。
誰がお菓子を引き上げたのか調べろ!
しかし、その私の考えは甘かった。
私は以上のようなことを口にして、お菓子を男性に渡すと以下のようなことを言われた。
「てめえふざけるんじゃねえ!!
誰がお菓子を引き上げたのか調べろ!
俺はお菓子が戻ってきても納得しねえからな!」
まあ、そりゃそうだろう。
お菓子自体はどうでもよく、1~2分でお菓子が失くなってしまった理不尽な出来事について怒っているのだから。
こうなるともうどうしようもない。
お菓子を引き上げている時点で、スタッフの誰かしらが関わっていることは明白となってしまったので、そのスタッフに名乗り出させない限りは男性が引き下がることはないだろう。
私は、店内の最高責任者である副店長に相談した。
すると、こうなった以上はエリカに謝るせるしかないだろうという結論となった。
私はその後以下のように副店長に伝えた。
「あの男性の怒り方は尋常ではなかったので、エリカに手を出さないとも限りません。
自分がエリカに付き添って何かあれば止めますが、男性とは監視カメラに映る場所に移動して話をしようと思います。
万が一、暴力を振るわれた時に、カメラに残しておく為です」
その後、エリカを呼んで状況を伝え、男性に声を掛けた。
男性をそれとなく中央通路のカメラに映る場所に誘い込むと、真実を話した。
「すみません。お客様の台からはうちのスタッフのエリカがお菓子を引き上げたということがわかりました」
真実を話すとはいっても「お菓子をゴミ箱に捨てた」とは流石に言えないので、引き上げたと伝えた。
その後、お菓子は落とし物を管理する場所に保管されたのだが、最初確認した時に発見できませんでしたといった形であしらうことにしたのだ。
以上のことを聞いた男性は、エリカに怒りをぶちまける。
「てめえ!ふざけるんじゃねえ!
客の所有物を勝手に持っていきやがって!
しかも“お菓子わからないです~”とか
すっとぼけた対応しやがってよ!」
「すみません・・」
エリカが謝ると、男性はそれ以上彼女を責めることはしなかった。
流れとしては1分くらい思い切り怒って、そのまま去っていった感じである。
もちろん暴力を振るうこともなかった。
今回の件で感じたこと
エリカのいい加減で浅はかな対応が、顧客トラブルを生んでしまった。
にも関わらず、私は客側を騙す感じでエリカをかばおうとした。
ただ、最終的にはそれが無理な状況となって、犯人はエリカだったことを客に伝えた。
このようなことがあっても、エリカに対してそれほど強く怒ることがなかった私はつくづく甘い人間なのだと思う。
(というより、怒るよりも諭すように話をした)
実はそれには伏線があって、入社したての頃に
「何か事件が起きたら部下をかばう行動をしなさい」 と
ある上司に言われたことがあった。
私はその言葉を未だに憶えているのだが、それが当時の私の頭の中にあったものだから、今回のような対応をしたのだと思う。
そして、今現在は現場から離れている状態なので、そういった苦労に携わることはないが、やはり現場という第一線で働く社員は大変だなと思う。