マルハンがパチンコ業界を滅ぼす【前編】
今日の記事はかなり大胆なタイトルとなりましたが、内容の方も大胆に書かせていただきます。
まずは下のパチンコチェーン売上高をご覧ください。
パチンコチェーン売上ランキング
第2位 ㈱ダイナム 9119億7400万円
第3位 ㈱ガイア 3777億9740万円
第4位 ㈱ABC 2311億8760万6000円
第5位 ㈱ニラク 2407億5427万6000円
第6位 ㈱オザム 4046億円
第7位 ㈱一六商事 2124億1500万円
第8位 ㈱延田エンタープライズ 1905億6688万7000円
第9位 ㈱安田屋 1728億円
第10位 株式会社新日邦 1624億9000万円
※パチンコ・ パチスロ産業関連データ平成25年版より
※6位のオザムはパチンコ業以外の売上が含まれている
表を見ると完全にマルハンが抜きん出ているのがわかる。2位のダイナムに2.34倍の差を付けている。
それに対して、パチンコ業界全体の売上推移は下の図のように年々落ち続けている。
要因は沢山ある。影響の強いものから羅列してみよう。
②イベント規制
③出玉規制による遊技台のスペックダウン
④長らく続くデフレによる玉貸し単価の低下
⑤長らく続くデフレによる遊技人口の低下
⑥さとり世代の台頭
これら全てが業界に大打撃を与えており、業界は衰退の一途をたどっている。
実際に各パチンコチェーンの中でもリストラに近い動きも見られており私の会社も同様である。
これではパチンコ業界がなくなるのではないか…?
という疑問が出てくるかもしれないが、その可能性はNOだ。
2013年時点で18.8兆円も売上がある業界がそう簡単になくなるわけがない。
しかし、なくなりはしないけど今後も確実に衰退~縮小していくということはこの異常な落ち幅を見ればサルでもわかるだろう。
イベント規制
衰退の要因については先ほど6つの例を挙げたが、今回の記事では「イベント規制」についてクローズアップしていく。
ここで言う「イベント」とは遊技促進のことであり言い換えると「販売促進」である。
そしてパチンコ業界に限らず“販売促進”というものはどの業界でも必要な営業である。
食べ物を売るのも、本を売るのも、映画を見せるのも、オンラインゲームでコンプガチャをやらせるのも全て“販売促進”といった言わば“煽り”が必要である。
しかしながら、パチンコ業界においては約4年前からパチンコ業界に対するイベント規制が激しくなり、全国の店で出玉イベントができなくなってしまった。それが業界の衰退に拍車を掛けてしまう。
イベント規制によって業界がどう変わってしまったかというと『設定を使わなくなった』という一言に尽きる。
つまり『⑥が1/3でサラリーマン番長に入ってます』などといった設定の告知ができるからこそ、集客ができて設定を入れる価値があるわけで、それが言えなくなってしまうと集客ができないので、設定を入れる価値がなくなってしまう。
設定が入っているということを公に告知できるからこそ使う価値があるのであって、そうでない場合はデメリットしかない。
その告知をなしに6を使うことなんてAT機ではほぼありえない。
まとめると、ホールが設定を入れなくなったからユーザーが楽しめない。
ユーザーが楽しめなくて遊技人口が減るから、ますます設定が入れられない(⇒業界衰退)。
といった負のスパイラルに陥る。
新台の販売促進ならOKというルール
そのようにイベント規制が掛けられた状況の中でも、許されている販促行為が存在しており、それは何かというと『新台の販売促進』となる。
つまり、新台のアピールであれば基本何をしてもOKであり、その為に『一擊2,400発獲得のゼロアタッカー搭載!!』とか『16R選択率がなんと80%オーバー!!』といった一見過激な謳い文句を言うことができるわけです。
ですから、どこのホールでも新台の販売促進は徹底して行っていますし、大手であれば新台は大量に買うと思います。
その理由は、イベント規制が激しい現状での集客手段といえば新台以外には乏しいからです。
そして、その新台で集客という図式が業界衰退にさらに拍車を掛けています。
説明すると新台を集客する為に例えば1台35万のCRヱヴァンゲリヲン9を20台買ったとします。
その場合の経費は700万で、それはそのまま客から回収することになります。
つまり、700万を掛けて新台を買わなければその700万は回収しなくて済むのですが、経費を掛けてしまった以上は絶対に回収しなくてはなりません。その為に…
新台大量導入⇒客から回収⇒新台大量導入⇒客から回収⇒新台大量導入⇒客から回収
といった図式が出来上がります。
この場合は得をするのはメーカーだけです。
パチンコ店にしてみれば出費がかさみ、客にしてみれば負担が大きくなり、とてもパチンコを楽しむどころでの話ではなくなってきます。その為、遊技人口が減るわけです。
マルハンの売上高推移
しかし、そのような状況下でも売上を伸ばしている企業が存在しており、それこそがマルハンとなります。
5,758億円(2002年9月期)
3,633億円(2003年3月期)
9,281億円(2004年3月期)
1兆2,778億円(2005年3月期)
1兆6,399億円(2006年3月期)
1兆8,149億円(2007年3月期)
1兆8,381億円(2008年3月期)
2兆 559億円(2009年3月期)
2兆1,209億円(2010年3月期)
2兆 389億円(2011年3月期)
2兆 791億円(2012年3月期)
2兆1,368億円(2013年3月期)
2兆1,116億円(2014年3月期)
業界が衰退してもマルハンだけは儲けています。
それはなぜか?
イベント規制が入った現在ではブランディングが集客を左右するからです。
つまり、マルハンにとっては弱小店舗にちょこまかと設定を匂わされて集客されるのが一番厄介なことであり、それだったらイベント規制になってしまって他店にイベントを開催させなくする方がマルハンにとっては都合がいいわけです。
まとめると、イベント規制の現在はブランディングでの勝負となっており、そうなるとマルハンの得意分野になるわけです。
つまり、マルハンの有利な状況に業界が動いているのが現在なわけです。
しかし、それはマルハンにとっては景気のいい話ですが、業界全体にとっては大きな打撃となります。
そしてここで要点をまとめますと、マルハンは自分にとって有利な土俵に持ち込む為に、全国のパチンコ店においてイベント規制を強化するような動きを密かに担ってきたのです。それでは、明日のブログではその真意に迫ります。