【パチンコ店経営学】出玉感の演出について
最近の新人社員を見てみた時に、考えさせられることは後を絶たない。
最近の新人は、皆真面目なのだが、本気で商売を考えて仕事する奴がずいぶん少なくなったと思う。
そういう意味では、私が現場を離れてしまったことが影響しているのではないかといったような、自惚れたことを口走っている次第だが、今回は私が班長時代に心がけていたことについて書いていこうと思う。
特に、パチンコ店に入社したての社員から主任クラスまで必見の話である。
平社員時代に考えていたこと
私が20代の頃は常にホール内で走り回っており、まさに激務の毎日だった。
主任や店長クラスは事務所内でタバコをふかしたり、監視カメラで巨乳ギャルの胸チラを拡大したりなどやりたい放題だったわけだが、私は日々黙々と業務をこなしていた。
そして、その時に考えていたことといえば「いかにして稼働を上げるか」というその一点のみであった。
自分ら末端の社員はホールに出て、使い走りされている状態であり、釘や設定を組んだりして営業に携わることはできない。
しかし、当時は班長というポジションであった自分の立場でも、何か営業に携わることはできないのかと常に知恵を絞っていたわけである。
そのようなことを考えていた時に、私が意識していたのは“いかに出玉を魅せるか”ということについてだった。
つまり、釘をアケたり、高設定を入れたりすることはできないが、より多くの出玉が出ているように客側に錯覚させることが、自分にできる営業の一つであると考えたわけである。
ドル箱の並べ方に徹底して拘る
その為、例えば島内で出玉が10箱以上出て確変といった状態の時に、その出玉の一部を中央通路に移動させてディスプレイするということがあるわけだが、そのディスプレイにおいて最も多く出玉が出ているように見える並べ方というものを徹底して考え抜いた。
その為に、当時はデジカメが珍しい時代だったので、写真屋さん45のインスタントカメラを島棚に保管して、中央通路に出玉をディスプレイする度に写真を撮って研究に研究を重ねた。
途中から、単に出玉感だけではなく、客に興味を引かせる為のインパクトのある置き方であってり、美しい置き方においても追求した。
そして、結局のところ行き着いたのが、以下の配置方法である。
「やっぱ、シンプルに横に広げて配置するのが、最も出ているように見えるし美しい」
という結論となった。
そして、その同時期には、それに合わせてパチンコやスロットのドル箱は平べったいものが多くなってきた。
高さを低くして広い面積のドル箱であれば、より出ているように見えるのである。
そして、そこからより多くの出玉を魅せる為のドル箱をメーカー側は次々と開発してきたのである。
▽光新星の進化系ドル箱。30mmの底上げ形状となっている
▽メガガーデン所沢店のえげつないオリジナル底上げドル箱。開発&量産において200万相当は超えたと思われる
また、通常時のドル箱の並べ方においても試行錯誤した。
例えば、上の画像ではドル箱が何箱出ているように見えるだろうか?
おそらく多くの人が4箱と答えると思う。
しかし、赤矢印の指しているドル箱においては、上のドル箱によって出玉が見えないので空箱でも構わないわけだ。
となると、そこを空箱に代用することによって、2段目の一番左に新たにドル箱を重ねれば合計5箱も出ているように見えるようになる。
このようにより1箱を多く見せようとする努力が、コース全体の出玉感をより一層引き立てる効果を発揮するのだ。
つまりこれは、言い換えると
ニセ乳である
より多くの出玉感を演出するという努力は、目の錯覚によるバストアップの技術に似ている。
フルーツパッションのドル箱におけるエピソード
当時、私の所属するホールにはフルーツパッションという台が10台ほど置いてあった。
当時は、新海物語がメイン機種だったので、このようなレトロ機種は隅に追いやられた格好だったのだが、それでも初代牙狼のように連チャン速度が恐ろしく速い爆裂機だったので、短期勝負を好む層には人気が高かった。
しかし、ホールを回っている中でフルーツパッションの島だけ大きめのドル箱を使用していたのに違和感を覚えた。
例えば、上記のドル箱が他のパチンココーナーに設置されていたとすると、なぜかフルーツパッションだけその1.5倍の高さがある大きめのドル箱を使用していたのだった。
私はその時にこう考えた
「フルーツパッションで爆連して10箱出したとしても、このドル箱だと7箱くらいにしかならない。
パッションは連チャン機なのでより多くの箱を使って出玉を管理した方がアピールになるのではないだろうか?」
それもそのはず。
客は箱の大きさなどいちいち考えない。
その為、10箱出ていれば10箱出ていたと認識する。
だから、それを考えると小さめの箱を使った方が良い。
私は、そのことを店長に伝えた。
「フルーツパッションだけなぜドル箱が大きいのですか?
他の台と合わせて小さめの箱を使った方が、出ているように見えますよ」
すると店長からは以下のような返答となった。
「その着眼点はいいね。
そういった現場で感じた意見は今後も挙げてほしい
ただ、パッションに関しては理由があって、大きめのドル箱を使っているんだ」
「理由とは何でしょうか?」
「ここだけの話、パッションの固定ファンは調整に関わらず打つ人は打つ傾向があるので、アタッカーの釘をシメているんだ。
しかし、小さめの標準のドル箱を使ってしまうと、1回の大当たりが終わった時にドル箱が満タンにならないと出玉を削っていることがバレてしまうだろう?
その為に、大きめのドル箱を使っているってわけだ。
箱が大きければ満タンにならなくても、削られていることが原因とは気づきにくいからね」
私はそれを聞いてなるほどなと思った。
おそらく、私の同僚や部下のなかでパッションのドル箱だけ異なったものを使っていたことについて、疑問に思う人は1人もいなかったと思われるが、こういった疑問こそ日々営業のことを真剣に考えているのであれば自然に湧き上がるものではないかと思う。