学生時代のパチ屋のホールアルバイトで泣いた思い出
私は今でこそ、年収1000万を稼ぐ資本主義社会の中ではいわゆる“勝ち組”といえる側の人間であるが、ことさら10~20代の若かりし頃はどうしようもないクズだった。
今回は、そんなクズ時代の思い出について書いてみようと思う。
根気がないダメ人間
私は、学生時代は多くのバイトをやっていたのだが、そのどれもが長く続かなかった。
その原因は一言でいうと「根気がない」ということだった。
今でこそスロットやネットビジネスや本業においては、金を稼ぐために真剣に向き合って取り組んでいるわけであるが、元来“金を稼ぐ”ということに対して、常人よりも並々ならぬ意欲を燃やす人間であった。
例えば、高校に入学した瞬間に地元のスーパーでアルバイトを始めた。
小中学生の頃からアルバイトができる年齢になったらすぐにでも働いて、お金を稼ぎたい。自分の欲しいものを買いたいと思っていたのである。
その時に働いたスーパーは時給550円という、法定の最低賃金を下回るようなヤバいスーパーだった。
そのアルバイトには、同じ高校に通う友達と入ったわけだが、2~3日でバイトに飽きてしまい、仕事の合間を縫ってはスーパーの酒や清涼飲料水をパクるようになった。
流れとしては、バイト中にスタッフの目を盗んで倉庫に侵入し、そこからトライアングルやスーパードライといった酒類を、スーパーの裏山に放り込んで、勤務終了後に裏山から酒を拾って持って帰るということを繰り返していた。
そして、それは次第にエスカレートして、トライアングルやスーパードライをダンボール丸ごとパクるようになった。
もちろん、それらの飲料水は飲みきれないので、帰りに友達の家によって有料販売していた。
しかし、ある日、あまりに大量の清涼飲料水を裏山に放り込んでしまった時に、友達との自転車2台ではとうてい持ち帰ることができない量となってしまい、そのまま裏山に置いて帰ったということがあった。
翌日、バイトに出勤すると裏山に置いて帰った酒がスーパーに届けられていた。
その土地の所有者か近所の人が発見したのだと思われる。
出勤と同時に、全スタッフがミーティングルームに集められ
「昨日、倉庫から酒が盗まれた。心当たりのある者は申し出てほしい」
と店長が話をした。
私と友達はそこで申し出なかったので、店長は警察を呼ぶことにした。
その後、裏山の足跡などの照合で、秒でパクったことがバレた。
以上の流れで、高校入学時に始めたアルバイトは、わずか2週間でクビになった。
もちろん、それは学校にもバレて、入学したその月のうちに謹慎処分という、前代未聞の出来事となった。
その後、高校生時代には「焼肉屋」「コンビニ」「新聞配達」など様々なアルバイトを経験したが、どれも3~4ヶ月で辞めていた。
前述したように、お金を稼ぐということに対するモチベーションは高い人間であったのだが、飽きっぽい人間だった。
大学に入学してパチ屋のアルバイトを開始
その後、大学に入学すると、宅配ピザやドラッグストアといったアルバイトを始めたのだが、当然のごとく長くは続かなかった。
そして、数あるアルバイトの中でも比較的高時給であるパチンコ店のアルバイトに興味を持った。
私自身、高校生の時にパチンコを打っていない人間だった為に、どんな仕事をするのか不安ではあったのだが、時給の高さが魅力だったのでまずは働いてみようと思ったわけである。
当時の私は大学の講義をサボりまくっていたので、パチ屋でのバイトは早番勤務で働くこととした。
朝8時から夕方7時までの勤務である。
それを週に3~4日行い、時給は1000円だったので、
月に11~12万は稼げる計算だった。
内容としては、体力的にはそれほどキツくはなかったのだが、パチンコのことがまったくわからなかったので、それが一番のネックだった。
「ラッキースタートコールが鳴ったら『おめでとうございます』と言って、当たった台に札を挿して一礼しなさい」
と教えられたのだが、コールが鳴ってもどの台が当たっているのかわからなかった。
「源さんでは確変で当たると、あと2回当たりがくるから、空箱を椅子の後ろに2箱置くんだ」
と教えられたのだが、どの状態が確変なのかなかなか覚えられず、膳板が空箱か否かでも椅子の後ろに置く箱数が変わってくるのだが、その判断もできなかった。
さらに、フルーツパッションにおいては、大当たりと小当りの違いが分からず、
小当り中にラッキースタート札を挿してしまい、客にボコられることもあった。
以上のように、パチンコユーザーであれば難なくこなせるであろう業務が、私にはできなかった。
さらには、そこに拍車をかけるかのように、早専の先輩アルバイトがいたのだが、その先輩がこれまたどうしようもない男であり、一言でいうと厳しい上に性格が悪い先輩だった。
私よりも年上のその先輩に私は大いにいびられた。
しかも、私自身が仕事のできないタイプの人間だったので、風当たりはかなり激しかった。
エントランスのモップ掛けをしている時に、水の交換をマメに行わなかった時には
「てめえ!そんな汚え水でモップ掛けしていたのか!コラ!!」
洗濯物のダスターを干す時に、洗濯バサミで2点止めせずに干していた時には
「てめえ!そんな干し方してたら1日経っても乾かねえよバーーカ!」
スタッフ全員革靴で揃えているから、お前も革靴履いて出勤しろと言われた翌日に、赤の靴下と白の革靴で出勤した時には
「てめえ!それじゃヤクザじゃねえかバカ野郎w」
以上のように、仕事のできない私は怒られまくっていた。
そのようなことが延々と続き、早番勤務終了後に車の中でどっと涙がこみ上げてきて泣いたこともあった。
それは仕事ができない自分に対する情けなさからくる涙だった。
先輩アルバイトから勤務中に蹴りを食らう
先輩アルバイトからのいびりは日を追うごとに激しさが増していった。
開店前作業時に、パチンコホールの床を清掃中に、先輩から声を掛けられた
「クロロよお。もし、目の前で裸の女が股開いて寝ていたらどうするよw」
その時の私は、童貞だったということもあり、気の利いた返しができなかった。
「そんなことないですから・・」
「もしもの話してるんじゃねえかテメエはよう!w」
まあ、これに関してはどうでもいい話なんだが、2人でトイレ掃除している最中に個室で用を足し始めた先輩に
「クロロ!ケツ拭け!」
と言われた時には流石にカチンときた。
で、その翌日に勤務中に蹴りを入れられ一触即発という事態となったのである。
状況としては、ギンパラで上タンクの玉詰まりが発生し、それを直す為に台の右上をバンバンと叩いたのである。
すると、先輩から蹴りが入ったのだ。
「テメエ!何やってんだ台が壊れるだろが!」
私は、他の先輩アルバイトから玉詰まりを起こした際には台の右上を叩くように言われていたので、その件を怒鳴るように伝えた。
「玉が詰まった時はここを叩くように言われたんだよ!」
先輩は怒号で返す。
「うるせぇテメエ!」
以上のような感じで完全険悪ムードとなり、やる気をなくした私は翌日に退職の意思を店長に伝えた。
店長からは、
「クロロみたいに真面目な奴はいねえからどうにか残ってくれねえかな」 と引き止められたのだが、
「いえ。働いていてキレそうになりますんで無理です」 と例の先輩が原因で辞めるという意思を伝えた。
店長の話したように、当時の私は仕事ができないながらも真面目なスタッフではあった。
おそらく、当時の荒れたパチ屋のアルバイト店員達と比較するとまだ扱いやすいスタッフであったのだと思われる。
先輩のその後
その先輩に関しては、ロン毛を後ろ縛りしたドキュンな男だった。
私が入社した時は、もう3年も働いているベテランアルバイトで、入社時の時給は1000円だったのだが、今では1250円にまで伸ばしたと自慢していた。
出勤形態は週6の8時から17時。
つまり、1日8時間労働なので日給1万だった。
そして、それが週6ということは、月26~27日出勤となるので、
月給は26~27万であったと思われる。
にも関わらず、その先輩は500万のサバーバンに乗っており毎月15万のローンを払っていると話していた。
まあ、若気の至りであろう。
典型的な女にモテたいマイルドヤンキーである。
その先輩はサーファーだったので、休日には毎回湘南の海に波乗りに行っていた。
驚いたのは、それから数年後に結婚した私の家内が、その先輩と同じ高校で同じクラスの同級生であったということだった。
しかも、家内はその先輩から気に入られていたと話していたのだ。
直接、告られたわけではなかったのだが、
「私が近くにいると大きな声で話始めたり、急にカッコつけ始めたりしていた。たぶん私のこと好きだったんじゃない」
と家内は話していたのだ。
まあ、実際に高校生時代のアルバムを見せてもらっても明らかにクラスの女子の中で家内が一番可愛かったので、ありえると思った。
にしても、学生時代のアルバイトでいびられた先輩のお気に入りの女をモノにして結婚しているわけであるから、気分がいいものである。
また、家内の話では、その先輩は筋金入りで性格が悪かったらしく、クラスの男からは口を聞いてもらえず友達がいなかったとのことだった。
あれから20年以上の月日が経っているが、その先輩は10年前にバイトをクビにされたとそこで働く女性従業員から聞いたことがある。
原因はアルバイトとの衝突で、堪忍袋の緒が切らしたアルバイトが店長にクレームを伝えたことが解雇の引き金となったとのことだった。
となると、35歳くらいまでパチ屋でバイトしていたことになる。
クビにされた云々ではなく、30代中盤でパチ屋でバイトしていること自体が、ちょっと私には信じられない。
まあ、最近では以前よりもそういうスタッフが増えてるけど。